【名称】ヤーラ国立公園(Yala National Park)
【おすすめ度】★★★★☆4
【見れた動物】スリランカヒョウ、スリランカゾウ、バッファロー、スリランカハイイロオナガザル、カササギサイチョウなど。
【ポイント】スリランカおよびアジアを代表するサファリスポット。海水と淡水が混じり合う湿地帯をはじめ、草原や森林、山岳地帯まで多様な自然が広がり、変化に富んだ景観が魅力。スリランカヒョウやセイロンゾウ、ナマケクマなどの個性豊かな動物たちがたくましく暮らしている。
【料金】フルデイツアー:90$≒13,999円(ハーフデイツアー:60$)
【アクセス】ティッサマハーラーマから車で約40分。
【公式サイト】 https://www.yalasrilanka.lk
※2025年12月

素敵なガイドとともにフクロウツアーを満喫した翌朝、時刻は5時30分。
いよいよ、スリランカに来た最大の目的であるヤーラ国立公園でのサファリが始まります。
珍しく時間通りに迎えのジープが到着し、約40分かけてゲートへと向かいました。
早朝は動物に出会えるチャンスが高いとあって、入口にはすでに多くのジープが列をなしています。
やがて、美しい朝日に見送られながら、期待を胸にヤーラ国立公園の大自然へと足を踏み入れました。

ヤーラ国立公園とは
スリランカ南東部、インド洋に面したヤーラ国立公園は、国内最大級であり、最も人気の高い国立公園のひとつです。
国内一、すなわち世界一のスリランカヒョウの生息密度を誇り、セイロンゾウやバッファロー、マダラジカ、ジャッカル、ナマケグマなど、多彩で個性豊かな野生動物が暮らす野生の宝庫として知られています。
1900年に野生生物保護区に指定され、1938年には国立公園に昇格しました。
その前身はイギリス統治時代、エリート層の狩猟地として利用されていた歴史も持ちます。
園内には、海水と淡水が混じり合う湿地帯をはじめ、草原や森林、山岳地帯まで多様な環境が広がり、景観の豊かさも大きな魅力です。
サバンナをひたすら走るタンザニアのサファリとはまた異なる、変化に富んだ自然を楽しむことができます。

首都コロンボからは車で約5時間と、アクセスも比較的良好。
そのため、世界中から多くの人々が訪れる、アジアを代表するサファリスポットといっても過言ではありません。
ツアーは、コロンボ発の宿泊付きプランや他の観光スポットと合わせた周遊プランをオンラインで予約できるほか、拠点となるティッサマハーラーマのホテルでフルデイまたはハーフデイのサファリを手配することも可能です。
少しでも多くの動物に出会える確率を高めるため、今回は宿泊先(Nature Resort)でフルデイツアーを申し込みました。
料金は90ドル。
ガイドとジープに加え、水や朝食、ランチ、そして国立公園の入場料まで含まれています。
なお、12時から14時まではサファリが禁止されており、その時間帯は園内の休憩施設で昼食と休息をとることになります。簡単なお土産店やカフェテリアもあり、思い思いに過ごすことができます。
時間がもったいないなと感じていましたが、ランチボックスを広げ、ビーチでひと休みしていると、2時間はあっという間に過ぎていきました。

少し話はそれますが、スリランカのサファリカーの多くは改造されたTOYOTA。
アジアの地でも日本車が活躍しているのを見ると、どこか誇らしい気持ちになります。
スリランカヒョウ、早速現る
この国立公園を訪れた最大の目的は、スリランカヒョウに出会うことです。
その名の通りスリランカにしか生息していない固有種であり、絶滅が危惧されている希少なヒョウです。
スリランカの食物連鎖の頂点に立つその美しい捕食者は国内各地に分布していますが、中でもヤーラ国立公園は生息密度が一番と言われており、遭遇率が高いことで知られています。
とはいえヒョウは夜行性のため、日中は木の上で休んでいることが多く、アフリカのサファリでもそう簡単に見つけられる存在ではありませんでした。
ヤーラ国立公園でも簡単には会えないだろうと覚悟していました。

入園して間もなく、ジープが突然、猛烈なスピードで走り出しました。
どの国のサファリでも、急発進=何かがいるという合図。
胸が高鳴る中、運よく2台目でそのポイントに到着しました。
ガイドに示された方向へ視線を向けると、いましたスリランカヒョウ。

入園からわずか30分。
あまりにあっけない出会いに、一瞬現実かどうか疑ってしまいました。
しかも早朝ということもあり、木の上ではなく、地上で動く姿をはっきりと観察することができました。
そしてサプライズは、動いているヒョウだけでは終わりませんでした。

なんと、そのすぐ近くに2頭の子どもが。
動物園でもなかなか見ることのないヒョウの子どもを、野生の環境で目の当たりにする。
その事実に、素直に感動しました。

こちらを気にしつつも、茂みの中を走り回り、じゃれ合い、ときには母親に甘える姿。
どれも本当に愛らしくて、いつまでも見ていたいと思える光景でした。


その後も、草原を優雅に歩く姿や、背中で静かに美しさを語るような個体など、合計4回もヒョウに遭遇することができました。
ここまで出会いに恵まれるとは思っておらず、自分の“動物運”の強さを改めて実感しました。

憧れのセイロンゾウ
いきなりスリランカヒョウに出会えたことで、残る大本命はあとひとつ。
僕がいちばん好きな動物であるゾウです。
スリランカに暮らすセイロンゾウはゾウの中でも最小種のひとつとされ、成体でも比較的コンパクトな体格をしています。
とはいえ、その存在感は圧倒的で、力強さと優雅さをあわせ持つスリランカを象徴する動物です。
実際にお土産もセイロンゾウをモチーフにしたモノがたくさん売られています。

鳥やバッファローが集まる湿地帯エリアを走っていると、灰色のシルエットを発見。
美しい風景の中、2頭のゾウが静かに水を飲んでいました。

鬱蒼とした森に鳥のさえずりが響き、木々を映した水面がゆらめく中に佇む、地上最大の動物。
これぞ野生!と言いたくなる、完璧なシチュエーションでした。

現存するゾウはサバンナゾウ、マルミミゾウ、そしてアジアゾウの3種に分類されます。
これまでサバンナゾウやマルミミゾウは野生で見てきた一方で、実はアジアゾウだけはまだ出会ったことがありませんでした。
「大好きなゾウの3種すべての野生の姿を観察する」という密かな野望があり、この年末の旅先にスリランカを選びました。
そして実際にその瞬間を迎えたとき、不思議と喜びだけでなく、ほんの少しの寂しさも込み上げてきました。
すべてを見届けた達成感と同時に、ひとつの旅に区切りがついてしまったような、そんな感覚です。

とはいえ、まだ出会えていない野生のゾウもいます。
ネパールやタイ、インドに生きるいわゆるアジアゾウ、さらにボルネオゾウやスマトラゾウなど、同じ種でも環境によって姿や生き方はさまざまで、それぞれが亜種として認められています。
野生のゾウを追いかける旅は、まだまだ続いていきそうです。
個性豊かな動物が彩るヤーラの自然
スリランカヒョウやセイロンゾウ以外にも、美しい動物たちに数多く出会えるのがヤーラ国立公園の魅力。
スリランカ国内でも、特に多くの種類の野生動物が見られる場所であり、44種の哺乳類と215種の鳥類が暮らしています。
頻繁に出会えるのがバッファロー。

群れで仲良く水浴びをしている穏やかな姿もあれば、ぽつんと1頭で佇み、どこか孤独な雰囲気をまといながら風景の一部のように溶け込んでいる個体もいて、その対比がとても印象的でした。
同じ動物でも、出会うシチュエーションや距離感によって、まったく違う表情を見せてくれることは、野生動物観察の醍醐味のひとつです。

スリランカはバードウォッチングの聖地としても有名です。
スリランカ固有種であり国鳥のセイロンヤケイ(あまりに素早くて写真には収められませんでした)やカササギサイチョウ、クジャク、キングフィッシャーなど、色彩豊かでかっこいい鳥たちにも出会うことができました。
サファリでは大型動物に目が行きがちですが、こうした鳥たちの存在が、ヤーラの自然にいっそうの奥行きと彩りを与えていると感じました。

そして、もうひとつどうしても出会いたかったのがナマケクマ。
発見当時に見た目がナマケモノに似ていたということから「Sloth bear」と名付けられていますが、その性格はクマの中でも特に気性が荒いことで知られており、人間を襲う事故も報告されている存在です。
その食性は少しユニークで、主にシロアリやアリを長い舌で吸い取るようにして食べる昆虫食。
夜行性で、日中は茂みや木陰で休んでいることが多く、そもそも遭遇自体が難しい動物でもあります。

ヤーラ国立公園の閉園時間は18時。
午前中のうちに主要な動物たちはひと通り観察できていたため、午後はヒョウやナマケクマが現れそうなポイントを中心に、ジープで何度も周回しました。
ヒョウには再び何度か出会えたものの、ナマケクマの姿はついに現れず。
どうやらこの時期は遭遇率が低いシーズンだったようです。
悔しさは残りましたが、それもまた野生の世界。
こうしたギャンブルのような感覚も、野生動物観察の醍醐味のひとつです。
思い通りにいかないからこそ、次への楽しみが生まれます。





