【名称】バンダウガウル国立公園(Bandhavgarh National Park)
【おすすめ度】★★★★★5
【見れた動物】ベンガルトラ、ハヌマーン・ラングール、アクシスジカなど。
【ポイント】絶命危惧種ベンガルトラを探しに行く国立公園ツアー。遭遇確率はかなり低いが、その分出会えた感動は筆舌に尽くしがたい。世界一美しいシカと呼ばれるアクシスジカなども観察できる。
【料金】2,000INR≒3,140円/1回※ガイド付き
【アクセス】Katni駅からバスにてUmariaへ(約2時間)、乗り換えて公園ゲートへ(約1時間)
【公式サイト】https://www.bandhavgarh-national-park.com/wildlife-in-bandhavgarh.html
※2019年5月
皆さんがインドへ行く理由は何ですか?
混沌とした生活、バラナシの風景、聖地でのヨガ体験、自分探しの旅、カレー食べたいなどが主な理由になります。
ある町で、ウザったいインド人自称ガイドが僕にこう言い放ちました。
インド人「お前はお前は何しにインドへ来たんだ!せっかく案内してやると言ってるのに無視しやがって。」
僕「ただトラに会いに来たんだ。」
密林の王者トラ
現存するネコ科最大の動物にしてアジアの生態系の頂点に立つトラ。
深く茂った森を好み、その体に美しく刻まれた縞模様は身を隠す際に役立つと言われています。
ロシアからインド、インドネシアの広範囲を生息域とし、環境によって体の大きさ等が変化する動物です。
近年は、密猟や森林伐採、違法取引により、個体数が激減。
自然界に生き残っているのはわずか4,000頭ほどです。
絶滅危惧種の姿をこの目に焼き付けるために、やって着たのがインド。
インドにはベンガルトラと呼ばれる種が生息している国立公園が数か所あります。
日本からのツアーもしくはデリーなどの大都市からのツアーに参加するのが基本的な方法です。
インターネットで調べていると、僕のようなバックパッカーが訪問した情報は一切なし。
それでもあきらめずに検索していく中で目星をつけたのがバンダウガル国立公園でした。
バンダウガル国立公園へのアクセス
インドのほぼ中央に位置するバンダウガル国立公園。
他よりも小さい国立公園ではありますが、多くのベンガルトラが生息しているため、遭遇率ナンバーワンとも言われれています。
といっても60頭ほど。
またサファリが行われるのは3ゾーンの限られた範囲のみ。
さらに難易度は高くなります。
公式サイトによると近くに比較的大きな町(電車が通ってる駅)があるためバラナシから夜行電車に乗り、まずはKatniという町まで来ました。
そこからは路線バス。
ヒンディー語オンリーの車内でしたが、乗客みんな優しかったです。
小さな子と遊んでいるとあっという間にUmariaに到着。
そしてバンダウガルの名を連呼することで、無事に乗り換えもできました!
AGODAで予約をとっていた宿近くで降車し、お昼過ぎにチェックイン。
早速宿のご主人にツアーについて聞いたところ、個人客が参加する方法は二つありました。
①宿の主人に知り合いガイドをあたってもらい、空きがあるサファリカーに混載させてもらう。
②直接ゲートのエントランスに赴き、当日のキャンセル待ちを伺う。
①をお願いしつつ、ゲートのエントランスへ。
が、僕の英語力不足とそこにいたインド人の強烈な英語で何もわからず、すぐにゲストハウスへ戻りました。
出発日は特に設定していなかったので気長に待つかと思っている矢先、ご主人から朗報が。
「今日の夕方と明日の早朝、空きがあるらしいけどどうする?」
もちろん両方参加という返事をしました。
トラに会えるか?ベンガルトラ サファリツアー1回目&2回目
ここバンダウガル国立公園ではサファリツアーができる時間が決まっており、早朝・夕方で1回ずつ、各3時間程のみ入れます。(破ると罰金があるとかないとか。)
金額は1回2,000ルピー。
正規料金はわかりませんが、高いとは思わなかったので特に交渉はしませんでした。
サファリで入れるのはタラ、マグディ、キタウリの3ゾーンで、どのゾーンに行くかはお任せです。
前日の目撃情報や痕跡を基にガイドは入念に準備をしますが、それでも見られることは少ないとのこと。
結果的には、1回目(当日夕方)・2回目(翌日早朝)のサファリではトラに会うことができませんでした。
1回目のサファリでは公園入口付近でトラの足跡を発見し、気分は最高潮に。
しかし、出会えたのは世界一美しいシカとも呼ばれるアクシスジカのみ。
英語ではSpotted Deerと呼ばれ、その名の通り点の模様があります。
雄大なテーブルマウンテンの麓でのびのびと過ごしていました。
2回目のサファリでもアクシスジカと公園外でも会えるハヌマーン・ラングールのみ。
会えそうな気配は全くありませんでした。
肩を落としてゲストハウスへ戻ります。
主人に今一度聞いてみましたが、明日の早朝の空きは無し、夕方の空きは明日になってみないと分からないとのこと。
空きがでることを祈りながら、眠りにつきました。
翌朝。
次のサファリで会えなかったらここを離れようと決意しました。
相手は野生動物。
出会えるかどうかわからないギャンブル感も動物旅の醍醐味の1つですが、
当時まだまだ世界一周の序盤であったため、ずるずる時間とお金を使うのは避けたかったからです。
そんなこんな思っていると、ご主人が「今日の夕方また空きが出たぞ!」と。
最後のサファリが始まりました。
ついにその時が!ベンガルトラサファリツアー3回目
夕方15時半、またジープが迎えにきました。
前の2回のサファリ同様に、他のツアー客(インド人のみ)に混在し座る僕。
ガイドは僕が日本人とわかると「絶対にトラを見せてやる!」と豪語してくれました。
しかし、相変わらず見れるのはアクシスジカとハヌマーン・ラングール。
タイムリミットまであと1時間という時、ジープは水辺で止まりました。
「この水辺にトラはよく来る。その時を待とう。」
ガイドは言いました。
他のジープも集まります。刻一刻と閉園時間も迫っている
しばらくすると突如、辺りの空気が変わりました。
木々の音も鳥たちの声も静まり、音の無い世界に。
「何か来る。」
その場にいた人みんなが感じていたはずです。
次の瞬間。
一頭のベンガルトラが姿を現しました。
オーラに圧倒され、鳥肌が一気に立ちます。
突然の出会いに落ち着かない僕らを気にせず、トラは水を飲み始めました。
のどの渇きを満たしたトラは、まるで「俺に会いたかったんだろ?」とあざ笑いながら、森の奥へと消えていきました。
美しい。
その一言が一番似合う動物です。
まとめ
閉門時間ギリギリにゲートへ戻り、ガイドと握手を交わしました。
ゲストハウスの主人にも良かったなと言われ、一気に現実へ。
空気を変えるほどのオーラがあること。絶滅危惧種であること。それでもたくましく生きていること。
最後の最後に姿を見せてくれたこと。
いろいろな考えや感情が混じり、なかなか眠りにつけません。
言葉で全てを表すことはできませんが、僕の旅史上、最も感動的な瞬間でした。