フランス/パリ動物園~こだわりのGeoZoo~


【名称】パリ動物園(Parc zoologique de Paris)

【おすすめ度】★★★★☆4

【見れた動物】アイベックス、フォッサ、ワオキツネザル、シファカ、マングースキツネザル、イベリアウルフ、チャコペッカリーなど。

【ポイント】各地域ごとの雰囲気作りが徹底されたGeoZooを展開。高さ65メートルの巨大な人口岩を中心としたパノラマ展示はハーゲンベック動物園に影響を受けている。


【料金】22€≒3,807円

【アクセス】パリメトロ8号線Porte Dorée駅より徒歩5分。

【公式サイト】https://www.parczoologiquedeparis.fr/fr
 

※2024年5月

パリ動物園の巨大な人工岩

人生二度目の花の都フランスのパリ。

ヨーロッパの中でも特に物価が高く、円安も相まって旅人には大変辛い滞在でした。

ルーブル美術館やベルサイユ宮殿などは前回訪問済であったため、最低限の滞在にしようと思っていたのですが、ガボンVisa取得のために結局一週間いる羽目に。

Visa書類提出後に、パリ動物園にやってきました。

パリ動物園のゲート
パリ動物園

パリ動物園とは

パリ南東部のヴァンセンヌの森の中にあるパリ動物園。

フランス国立自然史博物館の一部として1934年にオープンした歴史ある動物園ですが、古さはまったく感じられませんでした。

それもそのはず、2008年に一旦閉園し、約6年の歳月と1億7000万ユーロ(約240億円)をかけて大改修が行われたためです。

飼育数を少なくし、動物密度が低い飼育場を作り、古き悪しき動物園から近代的で動物福祉に配慮された動物園に進化を遂げました。

パリ動物園のアイベックス
多方面からアイベックスを観察できる

まったくと言っていいほど別世界に生まれ変わったパリ動物園ですが、高さ65mの巨大な人工岩を中心としたパノラマ展示は開園当時のままです。

パリ動物園のパノラマ②
ハーゲンベック動物園とそっくりな景観

最初に人工岩を見た時に、ハーゲンベック氏が絡んでいるのでは?とピンときました。

予想は大正解!

パリ動物園建設の際に、ハーゲンベック動物園に触発され、同じ精神で同じようなモノを作るようにという指示が下されました。

瓜二つのパノラマが、パリ動物園のアイコンとして多くの人を魅了しています。

パリ動物園のパノラマ③
人工岩の麓に情報展示されています

巨大な人工岩は園内どこからでも望むことができ、ディズニーシーを歩いているような感覚になりました。

こだわりを感じるGeozoo

ほぼ正三角形というユニークな形をした園内はGeoZooが採用されており、5つのゾーンにわかれています。

世界で初めて取り入れたヘランブル動物園ブライドープ動物園などGeoZooを用いた園はいくつもありますが、地域ごとの雰囲気作りはパリ動物園が一番うまいなと感じました。

動物側だけでなく、来園者側の工夫も感じられたためです。

パリ動物園のピューマの飼育場
ピューマの飼育場 園内全域白い通路で統一されています。

アフリカゾーンは高い木があまり使われておらず、かつ本数もそれほど多くないため、空が広くアフリカのサバンナが上手く再現されていました。

通路も広く、動物と同じ空間にいるような、開放感のあるエリアです。

パリ動物園のアフリカゾーン
キリンやダマガゼル、クーズー、アフリカハゲコウなどの混合展示

アマゾンゾーンに行くと景色は一変。

植生豊かで木々が生い茂るように植えられており、空は狭く感じます。

通路も狭くなり、動物をのぞき込むように観察する体験は、熱帯雨林を散策しているようです。

パリ動物園のアマゾンゾーン
アメリカバクとカピバラの混合展示

中でもマダガスカルゾーンに一番驚きました。

アマゾンゾーン同様に植生豊かでありつつ、 アマゾンゾーンよりもベージュの木々が多く、マダガスカルの乾燥気候をうまく表現しています。

パリ動物園のマダガスカルゾーン①
5匹のフォッサが元気よく動きまわっていました

動物展示も充実しており、フォッサやワオキツネザルといったマダガスカルを代表する動物はもちろん、固有種の昆虫や爬虫類もいて懐かしい気持ちになりました

パリ動物園のマダガスカルゾーン
カメレオンはどこでしょう

クロカンムリシファカやマングースキツネザルといった動物園では珍しいキツネザルもいました。

パリ動物園のシファカ
クロカンムリシファカは横っ飛びしないみたいです

生きているシファカに会うのは僕自身も初めてでした。

ナショナル(現パナソニック)のCMやイッテQ!初期に珍獣ハンターイモトの動物図鑑に登場していることもあり、シファカという名はテレビでご存じの方もいらっしゃるかと思います。

そう、横っ飛びで有名なキツネザルです。

同じシファカの中でも、横っ飛びするのはベローシファカになります。

ベローシファカは地面をうまく歩けないため、強引に動いた結果この移動方法になったという説が有力だそうです。

動物園マニアには嬉しい出会い

ほぼ毎日のように違う動物園に行っている今回のヨーロッパ旅。

そのため、いくら動物好きと言えども有名動物の観察には飽きてきます。

特にキリン、シマウマ、ゴリラはお腹いっぱい。

贅沢な退屈感です。

そんな中、あまり出会えない種や亜種に出会えると「やはり動物園巡りは面白いな。」と再び意欲が高まります。

出会えない種や亜種に出会えたことで再び意欲が高まりました

イベリアウルフはその名の通りニシヨーロッパのイベリア半島に暮らすオオカミの亜種。

パリ動物園のイベリアウルフ
存在感のあるイベリアウルフ

家畜を殺す害獣として狩猟により殺されてきた歴史があり、2021年の推定個体数2000頭ほどとのことです。

保護活動も進んでいますが、食害もまだまだあり、野生動物と人との共生がますます重要な課題となっています。

褐色がかっており銀より金に近い毛であるため、独特なオーラを放っていました。

パリ動物園のイベリアウルフ②
目が合うと怖い

3種からなるペッカリーの1種チャコペッカリー。

パリ動物園のチャコペッカリー①
絶滅したと思われていたチャコペッカリー

博物館標本で存在は確認できていたものの野生下での目撃例が発見ができておらず、1970年代までは絶滅したと考えられていた特に珍しいペッカリーです。

動物園で一番見られるクビワペッカリーよりも頭が大きく、正面からでもしっかりと顔を認識できます。

とにかく顔にインパクトがあり、もののけ姫にて人との最終対決に挑む“化粧をしたイノシシ”に似ているなと思いました。

パリ動物園のチャコペッカリー②
チャコペッカリーの顔にご注目

実は、世界で2番目に古い動物園のパリ植物園付属動物園と間違えて来たのはここだけの話です。

到着時に気が付き、なるべく節約しようと思っていた矢先であったため入園をどうしようか迷ったのですが、結果的に大正解でした。

観光客が少なく心地の良い動物園ですので、大観光地のカオスな人混みに疲れた方には特におすすめです。

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