【名称】ペンギンビューイングプラットフォーム, リリコビーチ(Penguin Viewing Platform, Lillico beach)
【おすすめ度】★★★★☆4
【見れた動物】フェアリーペンギン、オポッサム
【ポイント】世界最小のペンギン「フェアリーペンギン」の観察デッキ。9月下旬から1月にかけて繁殖期を迎え、タスマニア島の海岸線に営巣する。この期間は多くの個体を間近で観察できる。
【料金】0AUD≒0円 ※寄付制度
【アクセス】タスマニア第三の都市デボンポートから車で約10分。
【公式サイト】https://www.devonport.tas.gov.au/park-recreation/lillico-beach/
※2024年9月

タスマニア島の旅もいよいよ最後の夜。
野生のカモノハシ、ウォンバット、ハリモグラなどタスマニア固有のユニークな動物たちに無事に出会うことができ、大満足の動物旅となりましたが、その締めくくりにもう1種、観察に挑戦することにしました。
メルボルン行きのフェリーが発着するタスマニア島第3の都市・デボンポートに宿を取り、夜の観察に備えてしばし仮眠。
時刻は18時30分。
フェアリーペンギンに出会うため、リリコビーチに向かいました。
フェアリーペンギンとは
世界には18種のペンギンが確認されていますが、その中で最も小さいのがフェアリーペンギン(コガタペンギン)です。
体長はわずか30〜40センチ、体重も1キロほど。
名前の通りまるで妖精のように小柄で愛らしい、空を飛べない鳥です。
主にオーストラリア南部やニュージーランドに分布し、都市部近くでも営巣するため、人にとって最も身近なペンギンのひとつとして知られています。

リリコビーチ保護区のペンギン・ビューイング・プラットフォーム
タスマニア島では一年を通じてフェアリーペンギンの姿を観察できますが、特に9月から1月の繁殖期には、海岸線の岩場や藪の中に巣を作り、子育てのために多くの個体が陸へ上がってくる様子を見ることができます。
観察スポットはいくつか点在しており、代表的な場所としてはバーニー(Burnie)やスタンリー(Stanley)などが知られています。
今回僕が訪れたのは、島北部のリリコビーチ保護区にあるペンギン・ビューイング・プラットフォーム。

各スポットで有料ツアーやボランティアガイドによる案内が行われていますが、その多くは10月からの開催でした。
一方、リリコビーチでは9月下旬からボランティア団体「リリコ・ペンギン友の会」による観察会がスタートしており、今年の開催情報もすでに確認できたことから、今回の訪問スポットに選びました。
友の会はガイドだけでなく、環境教育や啓蒙活動、ビーチの清掃、個体数の調査なども行い、フェアリーペンギンペンギンの保護に努めています。

ペンギンのパレード
本格的な夜になる少し前、ペンギンビューイングプラットフォームに到着しました。
日中はハイキングやバードウォッチングが楽しめる場所で、広い駐車場も整備されています。
プラットフォームに入ると、柵や観察路が整備されており、さらに鉄製のフェンスも設けられているため、観察者が営巣地に立ち入らないよう配慮されています。
これらの設備はすべて無料で利用でき、寄付金によって支えられています。
無料に甘んじず、自然や活動を守るために寄付は必ずしましょう。

また、フェアリーペンギンの観察には明確なガイドラインが定められており、野生動物に負荷をかけないよう観察することが求められます。
暗い色の服を着ること、懐中電灯の使用は禁止されていることなど、これらのルールを守ることが必要です。

すでにガイドと数名の観光客が集まっており、海の方をじっと見つめていました。
フェアリーペンギンは早朝に海へ出て狩りを行い、夕暮れとともに海岸へ戻ってくるため、そのタイミングを狙って観察会は行われます。
だんだんと暗くなり、波の音と車の音だけが静かに響く中、海の中から小さな影を発見!
群れをなしてリリコビーチに泳ぎ着いたフェアリーペンギンたちは、列をなして海岸を一生懸命にあがってきました。
みんなで歩いたり、跳んだり、時々転びそうになったり、その様子は「ペンギンのパレード」と呼ばれています。
小さな身体でヨチヨチ歩く姿は、とても愛くるしいです。

時間が経つにつれ、その数は増え、この日はおよそ50匹のフェアリーペンギンがリリコビーチへと戻ってきました。
海岸は賑やかになり、「クワァァ」「キュー」「カカカ」など様々な鳴き声が響き渡ります。
海岸を登りきるとすぐに姿を消してしまう個体もいましたが、中には毛づくろいをしたり、リラックスした様子を間近で見せてくれる子もいて、その愛らしい姿に思わず見入ってしまいました。


少し時期が早いかなと思っていましたが、その小さな青灰色のかわいい姿をしっかりと観察することができました。
懐中電灯の使用は禁止されていますが、ガイドの手元やプラットフォームに点在する赤外線ライトのおかげで、ペンギンたちの様子を十分に見ることができます。
ただし、暗い場所も多いため、足元には十分注意が必要です。
他の野生動物も遊びに来ることもあるので、気をつけてください。

また、観察のベストシーズンはオーストラリアの冬にあたるため、暖かい服装で臨むことも忘れずに。
妖精のおかげで、タスマニア島での旅の最後も、充実した特別な時間となりました。