イスラエル/エルサレム聖書動物園~宗教都市にある世界一素敵な動物園~


イスラエル、エルサレム聖書動物園のペッカリー


【名称】ティッシュ・ファミリー動物公園(Tisch Family Zoological Garden)

【おすすめ度】★★★★★5

【見れた動物】ペッカリー、ライオン、クマ、フラミンゴなど。

【ポイント】宗教都市エルサレム郊外のパレスチナ自治区との壁近くにある動物園。聖書やコーランに登場する動物を中心に展示している。ユダヤ教・イスラム教において不浄とされている豚に似たペッカリーが注目の的。宗教への配慮が最大限になされており、人々が良い友好関係を築ける場所。

【料金】59NIS≒1,770円

【アクセス】路線バスにて動物園前駅へ。

【公式サイト】https://www.jerusalemzoo.org.il/len

※2019年6月


キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖地として多くの巡礼者と観光客を迎えるイスラエルの宗教都市エルサレム。

エルサレム聖書動物園は僕が一番印象に残った動物園であり、エルサレムに訪れた際にはぜひ立ち寄って、何かを感じ取ってもらいたい場所です。

イスラエルのエルサレム聖書動物園のゲート
エルサレム聖書動物園

宗教都市エルサレムにあるエルサレム聖書動物園とは


岩のドームや嘆きの壁がある中心地から外れ、南側にはすぐパレスチナ自治区が広がる場所にあるのがエルサレム聖書動物園。

戦争と停戦が繰り返される地にある動物園です。

動物園前にバス停がありGoogleの経路検索も使えたので簡単に行くことが可能です。

園内は緑が溢れており、動物のスペースも広く、

周りにはパレスチナ自治区や紛争地帯、街中には各宗教の聖地があるとはとても思えないくらい、

のどかで気持ちの良い時間が流れていました。

イスラエル、エルサレム聖書動物園の園内
園内には観察台も設置されています

正式名称はティッシュ・ファミリー動物公園ですが、地元民の中では聖書動物園と呼ばれています。

何故かと言うと、聖書やコーランに出てくる動物が数多く展示されているためです。

聖書やコーランに登場する動物の展示

通常の動物園では、動物の名前や分布、どういう暮らしをしているかの看板がありますが、

エルサレム聖書動物園には+αで、聖書やコーランに出てくる動物には

第何章の何文に出てくるか、聖書やコーラン上の正式な名前のプレートが立てられています。

イスラエル、エルサレム聖書動物園のライオン
PANTHERA LEO PERSICA=ライオン
イスラエル、エルサレム聖書動物園のクマ
URSUS ARCTOS SYRIACUS=クマ

ライオンやクマが登場することは何となく想像できますが、中にはこんな動物にまで看板が付いてました。

イスラエル、エルサレム聖書動物園のフラミンゴ
PHOENICOPTERUS RUBER=フラミンゴ

どこのどんな場面でフラミンゴが登場するのかとても気になりました。

他にも、ヒョウやマンドリルなどにも同様のプレートが掲げられていました。

またショップには聖書やコーランに出てくる動物と何巻のどこに登場するかの一覧が書いてある巨大ポスターがありました。

イスラエル、エルサレム聖書動物園のポスター
聖書に出てくる動物が描かれたポスター

今までのイメージはアダムとイブの話、ユダに裏切りなどの話しか知らなかったため、

こんなにも動物が出てくることに驚きましたが、

ノアの箱舟を考えると相当数の動物が登場していてもおかしくないと納得しました。

ユダヤ教とイスラム教の不浄の存在「豚」が飼育されている?

信仰する宗教によっては食べてはいけない動物がいます。

日本人にとって身近な動物である「豚」はユダヤ教とイスラム教にとって不浄の存在とされています。

食べることはもちろん、見ることも禁じられています。

そんな中、エルサレム聖書動物園には豚に似たペッカリーが飼育されています。

イスラエル、エルサレム聖書動物園のペッカリー
エルサレム聖書動物園のペッカリー

主に中南米に生息するペッカリーは「豚」ではなく「猪」の仲間です。

つまり「豚」に似た動物であって「豚」ではないということです。

信仰心を傷つけないよう細心の注意を払い、

「The peccary is not a pig!」(豚ではありません!)

の言葉が4ヶ国語で掲示されています。

イスラエル、エルサレム聖書動物園のペッカリーの看板
ペッカリーは「豚」ではないと書かれた看板

「豚」を見てはいけないが、豚に似た「猪」に興味があり、

一目その姿を見たいという人がたくさん動物園を訪れているそうです。

まとめ

過去にはナショナルジオグラフィックにも取り上げられたことのあるエルサレム聖書動物園は、

イスラエル人が経営し、パレスチナ人が働き、アラブ人も遊びに来る動物園です。

宗教への配慮が最大限になされているため、園内の雰囲気は全く殺伐としてはいませんでした。

これまで動物園は種の保存や教育のための場所という認識でしたが、「平和」を築くための場所にもなり得るということを学びました。

動物が狭い檻にいれられてかわいそうだから動物園反対と思う人の気持ちも理解できますが、

こういった特殊な影響を与えられる唯一の場所にもなるということを知ってほしいなと思いました。

また、エルサレム動物園は絶滅危惧種の繁殖実績もあります。

エルサレム動物園のような強いコンセプトを持ち、種の保存への実績も残し続ける物園が増えることを願います。

宗教の違いによって多くの問題を抱える人々が、良い友好関係を築ける場所になりますように。